トンカツロック

4月9日(火)19時開演 Bunkamuraシアターコクーン

CAST:花川助三郎…坂本昌行、篠崎優…長野博、井口平…井ノ原快彦、花川君子…須藤理彩、森村麻衣…大村彩子、千絵…佐藤江梨子、国正藤吉…六角精児

トニセン春芝居。元暴走族でトンカツ屋の主のまー、まーのトンカツ屋で働くボクサーのイノ、トンカツ屋常連で中学校教師のヒロシ。あまりにいかにもなトニの設定にイマイチ見る気がしなかったのだけど、つーい行ってしまいましたよ。

一幕一場。ボクシングのリング。観客の中にはチンピラ風な丸サングラスに縦縞スーツの長野さん。いやーんかっこいいじゃないの。あなた先生じゃなかったの。のっけからやられてどうするよ私。ボクサーイノ客席より登場。いやほんと鍛えてます。ちょっとちょっとーいい感じじゃないの。狐がリング作ってるのも幻想的?期待してもいいのかしらーと思ったその時、ちょっと待てーと走ってくるまー(トンカツ屋仕様)。イノにあっさりぶっ飛ばされて気絶するまー。ということで、やっぱりこれは夢だったわけやね。少しがっかり。

お話は、ボクサー生命を今絶たれんとしていて、次に進むべき道が分からないでいる平、プライベートでは恋人とうまくいかず、仕事では問題児に振り回される優の二人の話を縦糸に、そんな二人におせっかい焼いて役に立ってるんだか立ってないんだかよく分かんないけどとりあえず俺様道まっしぐらな助三郎(実は奥さんの手の平の上)が横糸として絡まるという感じでしょうか。正直言って設定以上の話はありません。あまりにぢみです。とてもアイドルさんの芝居とは思えません。なんですけど、トニの兄さん達ったらめちゃくちゃはまってるんです。ええもう、イヤになるほど。一幕終る頃には、ええいもう、分かったわよ。死ぬまで人情芝居やってていいよっと(若干ヤケ気味に)ねじ伏せられましたな。
とゆことで、あとはワタクシツボなど適当にコメントをば。

まーイノの掛け合いは、去年のサンダンスと比較にならないくらいテンポよくって、フットルース、東亜とそれぞれ座長はっただけの成果かなーと。特にまー。立ち姿が決まってます。オレ様な役柄も大変似合っておいでで。しかもそのオレ様ぶりも、しょせん奥さんに良いようにあしらわれてるとこがたまらなくまーで。小芝居もやけに多かったざんすね。君子奥さんの作った巨大トンカツを食べる時の手で触ってアチッて耳たぶ触るとことか、隠してあるエロビデオをこっそり取り出して平に貸してやるとことのお前は中学生かっちゅうくらいのコソコソぶりとか、平のトレーニングにちょっかい出して、偉そうにパンチ受けてみたらばあっさりフラフラするダメっぷりとか、商店街のステージを成功させ、演説ぶっておきながら途中で照れて脛をぼりぼり掻いてみたり。大変らぶりーでございましたよ。商店街のおやじさん達に叱られてしょんぼりしてる助三郎の脇で、君子さんが「おさかな天国」をハミングするとこ、「何鉄腕アトムなんて歌ってんだよっ」と言うのは、素で間違えたの?芝居?ここの場面の歌は日替わりだそうですね。

井ノ原さんは、まーいつも安定してて、よろしいんですけど、出来ればそろそろもう一歩先を見せていただきたいとこです。ボクサー体型とか、トレーニング中の平の身のこなしとかVファン的ツボは満載でしたが。平の彼女の千絵ちゃんが可愛かったー。平に負けず劣らずの足りん子っぷりでエッチな体型で、でも平のことが大好きーな純情っ子ちゃん。すーぐボロボロ泣いちゃうのが可愛くて可愛くて。おねーさんたまんなかったっす。超ミニで自転車乗ったり座り込んだり危ない格好をしてくれるのでハラハラしましたが、あれで見えないのはすげー。(お前わおやぢか)

どうしても一歩遅れた感のあるのが長野さん。これは役柄&演出のせいもあるのよ、絶対。大学時代からの付き合いの恋人が夢をかなえて新聞記者になったのはよかったけど、どんどん前へ進んでいく彼女にあせりを覚え、慌ててプロポーズしたけど、今まさに夢を追ってる彼女には重いばかり。ほんとは構って欲しい問題児麻衣のSOSになんて気付きもしない。あまりにステロタイプでないですか。でもってなんであんなにオーバーアクションさせるかなあ、演出。この前見せてもらった昔のがっこの大袈裟先生かっつの。さらにその頭っ。頭ぶんっと振るとそのままの形で髪型がキープされるってのはどうよ。漫画じゃないんだからさ。せめて、髪短くして、パンフレットの眼鏡(銀縁)で出てくれたらそれだけでもイメージ変わったのに(舞台上ではぶっといフレームでした)。もうちょっとクールな感じにして、で、彼女の友美さんは現物出さず、例えば電話で話す長野さんのセリフだけで彼女像を表現する、とかでも長野さんの力量ならじゅう〜ぶん出来ると思うのにな。熱血教師を目指したものの、実は自分のことで手一杯てなお子様教師じゃなくて、初めから教師は仕事と割り切ってるワルい人の方が、麻衣に悪かったと謝るとこ以降の説得力が出たんじゃないかしら。室温が良かっただけにねー、もったいない。

サンダンスに引き続き場を締めてくれる六角さん。サンダンスに比べてトニが六角さんと互角に渡り合えるようになってきたと思うのはファンの贔屓目?まあ、サンダンスでは、3人を見守る大人の役でしたが、今回は助三郎よりちょっとお兄さんくらいで大差ない立場だったからってのもありますがね。六角さん扮する藤吉さんはもんじゃ屋なんですが、舞台に出てるもんじゃ屋の看板の似顔絵、そっくり(笑)。

てーことで、脚本演出の不満はもう突付けばいくらでもあるんですが(まだまだ言い足りないらしい)、Vファン対応見せ場はこれまた死ぬほどあって、トニ一人一人を見てる分には大変幸せになれる、あーでもそれって何か違う、ウガーッと何だか大変フクザツな気持ちになるお芝居でございました。サンダンスが私にはかなり辛かったのに比べれば、全然楽しくて心の底からちゃんと拍手の出来るものではありましたけどね。(自分でも分からん位にむちゃくちゃな日本語だな)
横内さんの芝居ってサンダンスと少年タイヤのジプシーとこれと、ジャニ物でしか見たことないので何とも言えないんですが、普段からこんな感じなんでしょうか。それともトニのイメージがこうなだけ?申し訳ないけど、来年もトニ舞台やってもらえるんだったら、違う人のお話が見たいなあ。人情物はハマリ過ぎなのがかえってツライです。
そうは言っても心に残るセリフもありましたよ。君子ねーさんが麻衣とどう接したらいいか分からなくて落ち込んでる優に言う、「ウザイって言うのは気になるってことだから、ちゃんと届いているんだよ」ってセリフ。これはオオと思いました。次点は、優が平に言う「平の言葉は壊れない。学校で習った言葉じゃないから。自分で掴み取った言葉だから。」というやつですね。

やっぱりちょっと寝かせ過ぎました。すぐ書かなきゃだめねー。トニの芝居は確実にレベル上がってると思いますので、来年に期待ってことで、以上終わりっ。

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