エレクトラ
2003年9月6日〜9月30日 Bunkamuraシアターコクーン
何度もわいては消えた岡田さん舞台のウワサ。今度もどーせと思ってたら・・・
世界のニナガワ、相対するは大竹しのぶ様、相手にとって不足なし・・・てか大丈夫かよほんとに。
と、期待と不安に揺れる1ヵ月間のはじまりはじまり
友達にはさんざんきいてもらった話なのですが。感想を書きそびれた14日を含めてエレクトラ3回見たところで思ったこと。 などと思いつつ約10日ぶりのエレクトラ。岡田の表情が変わっていたよ。夢にもみたであろう故郷の地を踏むことの出来る嬉しさ、これから成し遂げなければならないことに対する畏れそんなものがとてもよく分かるようになっていた。端っこにうずくまり、そして顔を上げたときのまったく違うまさに王子の表情。これはいけるんじゃないー?発声もだいぶマシになってたし。と、かなり安心して最初のシーンを見ることが出来るようになったのがとても嬉しい。 25日の大竹エレクトラはとにかく怒っている感じ。早口でイライラと叫びまくり、コロスの言うことなんてまるで聞いちゃいない。おかげで女性対決も迫力ありましたね。 もー毎回楽しみで楽しみでしょうがないママとの対決シーン。まま好きだー好きだー。登場シーンのヤクザの姐さんかみたいな無頼ぶりがかっこいいよう。マントを翻すとこが孔雀みたいだー。でもってオレステスの死を聞いたときの目を向くとこなんかもう大好きだー。退場のとこでほんと拍手したいんですよ、私。 エレクトラと再会してからのオレステス。13日に見たとき、何かほんのちょっとだけですが大竹姉さんをリードしてみようなーんて意気込みが見られておやおやと思ってたんですが、更に立派になってくれたような気がするのは、多分最初のシーンがそれなりになって来たからかしらね。もうただのひいき目なのはよーく分かってますが。 少しは台詞が聞けるようになったのは言ってみれば対処療法な訳で、抜本的に発声を学んでもらわないとこれから厳しいだろうなーとか、まだまだ言いたいことはもちろんありますがね。ようやく岡田なりのオレステスが出来てきたのかなーなんてことが感じられてホッとしましたの。それだけでいいやーと思えてしまうあたりまだまだ甘いファンでございます。(03/09/29) |
エレクトラ始まってから初めての休演日を経ての公演。まあ岡田さんはレギュラー番組の撮りとかあっただろうからオフってな訳にはいかないんだろうけど。 さて、初日見てもうどーしようかと思った冒頭の場面。我らが岡田さんが今日までの4公演をただ回数こなしてるなんてことがある訳なく、色々工夫の跡が見られます。子音を強調することで聞き取りやすくしようだとか、台詞の速さを若干変えてみたりだとかね。相当ひいき目ですが若干は聞けるようになったように思います。もちろんまだまだですけどもね。ええもう、岡田さんに関してはこちらもそれだけのもん捧げておりますので言いたいこと言わせてもらいますわよ。ほほ。 なんてやたらと楽しんでるうちにオレステス君の出番。初日もそうだったけどこの登場シーンの発声は最初のとは違っていい感じに力が抜けているからか、逆に使者を演じてるいわば劇中劇の状態で作ってるからかよく分かんないけどとてもいいですねえ。 カーテンコール。二人で退場する際、大竹さんの腰に手をかけ何となくリードしてみる岡田。おやおや姑息な技を。(おねーさん大喜び) 最後にまだこれからご覧になるご予定なのにこれを読まれてしまった皆様に私から呪いの言葉を(笑)。 |
舞台はやはり通常のステージよりかなり内側に壁を作って狭くしてある模様。更に奥に行くほど狭まっていて台形の舞台。奥の壁に扉が一枚ある以外は出口なしの圧迫感。上下からの出入りも出来ないので必然的に客席通路が花道として活用されます。 舞台は故郷に帰ってきたオレステスのシーンから始まります。話には聞いていたけどいきなり客席通路に現れるオレステスにびっくり。私は2階席だったので角度的にはよく見えなかったんですけどね。初の発声は、お、岡田さんこんな声でしたっけ?てな感じ。太くて張りのある声。そして例の帽子を深くかぶって顔を伏せた状態からも発せられる存在感。何だか別人を見る思い。大事に大事に育てられた御曹司、またその期待に応えるべく見事に逞しく育った青年。うーわー。でも、舞台に上がってからがいけません。あのー岡田さん、何おっしゃってんだか全然分からないんですけど・・・・。ああ〜蜷川さんにも心配されてたってのに結局改善されてないのかよ。ちょっと目の前が暗くなりかけたところでオレステス退場、大竹エレクトラ登場。 えーもう、岡田さんがおっしゃってた通り、大竹さんが動くと舞台が変わりましたとも。すっかり。今までのことは無かったくらいに。コロスを相手にひたすら恨みつらみを言い立てまくるエレクトラ。全身から放射される力のそれはそれはすさまじいこと。ああもう役者が違いすぎます。 クリュソテミスが去った後、いよいよ登場は母親クリュタイムネストラ。波乃さんというと私はどうしても「鬼平犯科帳」しか思い浮かばないのですが。しかも舞台鬼平犯科帳まで見に行ってるし。翻訳劇はほとんど経験がないとのことでしたが、なかなかのはまり役。酸いも甘いも乗り越えたわよべらんめえみたいな貫禄があります。実の娘と取っ組み合いのケンカみたいなんだもの。たのしー。(ほんとに取っ組み合いな訳ではありません。年の為。あ、でも近いものはあったかな。) 生きる望みの全てを絶たれたエレクトラ。何だか見てる側までオレステスは死んじゃったんだっけと思い始める(笑)くらいの頃、ようやく姉の前に姿を見せるオレステス。あら?さっきとはまた声の感じが違うような気が。随分聞き取りやすくなったような。でもまだこっからがじれったいんです。オレステスは相手がエレクトラとは知らず、オレステスの遺骨を持ってきたと言ってしまう。自分の前で嘆き悲しむ目の前の女性が姉エレクトラだとようやく気付くオレステス。目の前の自分を見てってなあたりほとんど愛の告白ですな。とうとう出会うことが出来た姉弟。そらーもうこっちの気分も最高潮な中、濃厚な抱擁シーンが延々と。ただひたすら美しくも官能的な世界。これだから芝居ってすごいよなーと思う瞬間です。マントを脱ぎ捨てたりなんて行為がいちいち来るなーって感じです。 二人で母親の元へ向うシーン。奥の扉が大きく開き、その向こうに手をつないで消えていく様は「母親を殺す」という大罪を犯す決意と共に姉弟の一線も越えちゃったんじゃないかなーと思ってしまいました。私。 カーテンコール。大竹さんが見事におねーちゃんでした。ほら行くわよって感じで手をつないであげたり。あなたのファンでしょ、応えてあげなさいよって前に押し出したり。岡田さん可愛がられてんなー。いい時間を過ごせているのねと幸せな気分になれるカーテンコールでございました。
さて、岡田さんのファンになってようやく丸3年。コンサートでこそ生の岡田さんは何度も拝見してまいりましたが、演技する岡田をカメラのフィルター無しで見たのはもちろんこれが初めてです。これを見ろてな岡田さんからの挑戦状、確かに受け止めました。コクーンの会場を満たすだけの存在感、想像以上でした。立ち姿の美しさには心底惚れ惚れしました。 |